所有欲と愛

「すべて愛と呼ばれるもの。ー所有欲と愛、これらの言葉のそれぞれが何と違った感じをわれわれにあたえることだろう! ーだがしかしそれらは同一の衝動なのに呼び方が二様になっているものかもしれぬ。/だがときどきはたしかに地上にも次のような愛の継承がある、つまりその際には二人の者相互のあの所有欲的要求がある新しい熱望と所有欲に、彼らを超えてかなたにある理想へと向けられた一つの共同の高次の渇望に、道をゆずる、といった風の愛の継承である。そうはいっても誰がこの愛を知っているだろうか? 誰がこの愛を体験したろうか? この愛の本当の名は友情である」(ニーチェ『悦ばしき知識』)。