間歇的な不実

いつかこんな夢をみた。グラウンドの真ん中で野球の試合が四方八方で行われている。ちょうどそれぞれの試合の外野にあたるところ、言い換えると多数の外野の入り混じるところに、ある女性とふたりでいるのだが、話もせず、終始様々な方向から飛んでくるボールに落ち着かない態度をとる自分がいるだけである。ある女性は怯えているのか平静でいるのかよく判らない。そういった夢をみなくなって久しい。ロラン・バルトはいう。「耐え忍ばれる不在とは、忘却以外のなにものでもない。つまり、わたしは間歇的に不実となるのである。それが生き残るための条件なのだ。忘れることがなければ、わたしは死ぬだろう*1」。