2007-06-01から1ヶ月間の記事一覧

雨が降るように人が死ぬ

昨年の朝日新聞朝刊に立岩真也が延命医療について「この社会は亡くなるまでの数日、数月、数年を過ごしてもらえない社会ではない」と述べていたことを思い出す*1。 *1:その後「初歩的なことを幾つか」として『希望について』に所収

正義

ジョン・ロールズは「公正としての正義」で「正義」について次のようにいっている。「正義は、通常の意味においては、社会的諸制度のもつ多くの徳性のうちのただ一つのものを表しているにすぎないと理解されるべきである。というのは、社会的諸制度は、不正…

精神論が跋扈する

阪神タイガースの鳥谷敬選手は、5打数2安打3四球とすべて出塁するも木戸克彦から元気がないと批判されている*1。果たしてこれで評論家なのだろうか? こういった精神論はありふれた有害な例である。少なくとも5回出塁しながら1度もホームに返せない後続…

今こそ鳥谷を1番に!

日本国のアホ首相が「美しい国」とほざいているが、「美しい国」なんて目指すものではなく、ましてや「美しい国」の本質や実体なんてどこにもない。各人が各人に応じてあるものやことを「美しく」思ったり、「醜く」思ったりするだけである。「国」に対して…

プラグマティズム

ローティは「プラグマティズム・デイヴィドソン・真理」(『連帯と自由の哲学』所収)で、「次のテーゼを堅持する立場が「プラグマティズム」ということになる」という。(1)「真なり」は説明用法を持たない。 (2)信念と世界との間の因果関係を理解すれ…

ヘビの環節

村上龍の『13歳のハローワーク』に「この世の中には2種類の人間・大人しかいないと思います/2種類の人間・大人とは、自分の好きな仕事、自分に向いている人間で生活の糧を得ている人と、そうではない人とのことです」とある。この文句に惹かれたことも…

「やりがい」による使い捨て

続いてハンス・アビングは、人は合理的に振る舞うという経済学者の予想に反して芸術に身を投じる人が絶えない理由を次のようにいう。 「新規参入者の期待が極端に高く、それにはある種の救済を求める地点にまで達していることが挙げられる。結果的に、これら…

芸術と就職

大学進学を芸術学部に選択したのは就職に不利だとされていたからだ。自分にとって「就職する」ということは「死ぬ」にも等しいことだった。ハンス・アビング「金と芸術」に次のようにある。 「七〇年代には、私の仲間の多くの学生が、ブルジョア社会を非難し…

『アメリカ』に出てくるバルコニーの青年

フランツ・カフカの『アメリカ』(『失踪者』)で、深夜2時にバルコニーで勉強をしている青年がどういうわけか昔から気になっている。ストローブ=ユイレの『アメリカ(階級関係)』を見てからか。青年は学生で昼はデパートの販売員をし、夜に勉強をしてい…

すべての個人の貢献が滅菌される

ジョン・E・ローマーは『これからの社会主義』でいう。「才能ある諸個人間の競争を組織する最小限の構造として市場をみるにすぎない新古典派の「希薄な」見解にたいし、現代の「濃厚な」見解は、すべての個人の貢献がそれをつうじて滅菌され、洗練される、人…

リチャード・ローティ

朝日新聞の朝刊でリチャード・ローティが6月8日に死去したことを知る。個人的にここ数年最も影響を受けている哲学者のひとりだった。 http://www.nytimes.com/2007/06/11/obituaries/11rorty.html?_r=1&oref=slogin

すでに存在するものを、出来るだけ利用せよ

と清沢洌は『暗黒日記』でいう。「何故なれば既にあるものは存在する理由があり、これを利用することは最小の犠牲で足りるからだ」。また「左翼、右翼は根本を考え、自由主義は目前の改良を考える。右翼は国体明微に根本をおき、自由主義は目前に余りに多く…

どんな運動であれ

運動を実現するために身を費やすことはしたくない。エリック・ホッファーは『大衆運動』でいう。「高まりつつある大衆運動は、運動の主義や約束によってではなく、個人的存在の不安や、無味乾燥さや、無意味さから避難する場所を提供して、追随者の注意をひ…

退屈な選択

仕事をしないで好きなように生きたいと強く願う。しかし、それが叶うのは実践できる背景を持つごく一部の者だけである。殆どの者がそのように望んでも叶えることができない。生存のためには収入を得なければならない。 どうせ収入を得なければならないのなら…

希望と預言

リチャード・ローティは『リベラル・ユートピアという希望』で『共産党宣言』や『新約聖書』を読む際には、預言が書かれているあたりは軽く読み飛ばし、希望が表明されている部分に集中したほうがよいという。ウィトゲンシュタインが『論理哲学論考』でいう…

望むこと

ウィトゲンシュタインは『哲学探究』でいう。「人は或る動物が怒り、恐れ、悲しみ、喜び、驚いているのを想像することはできる。だが望んでいるのを想像することは? なぜできないのか。/話すことのできる者だけが、望むことができるのか。或る言語の使用に…

理念

どんなに崇高な理念であっても、その理念の実現のために現在が犠牲になってはならない。現在が幸福でないような理念などない。現在を少しでもよりよく変えていく以外に理念の実現はない。現在の積み重ねが未来になるのであり、未来のために現在があるのでは…

好きなように生きる

「好きなように生きる」ことが好きな仕事をするということであるならばうんざりする。好きな仕事であれば何時間でも仕事をすることを厭わないのか。好きな仕事をしたいのではなく、単に仕事をしたくないのだ。好きな仕事をして「好きなように生きる」のでは…

クワインは

ノイラートの舟のたとえを『ことばと対象』の冒頭に引用しているという。それは「ローティがいっそう鮮明な形で打ち出すことになる」が、「今手にすることのできるものから始めるしかないが、希望を捨てるべきではない」ということだという。

コミュニズム

「共産主義社会においては社会が生産の全般を規制しており、まさしくそのゆえに可能になることなのだが、私は今日はこれを、明日はあれをし、朝は猟をし、午後は漁をし、夕方には家畜を追い、そして食後には批判をするー漁師、漁夫、牧人あるいは批判家にな…