野呂栄太郎『初版日本資本主義発達史 上 (岩波文庫 青 136-1)』

(1927年1月、6月『社会問題講座』)

明治維新は、明らかに政治革命であるとともに、また広汎にして徹底せる社会革命であった。それは、決して一般に理解せられるが如く、単なる王政復古ではなくして、資本家と資本家的地主とを支配者たる地位に即かしむるために強力的社会変革であった。(・・・)明治維新が、反動的なる公家と、同様に本質的には封建意識を脱却し得ない武家との意識的協力によって遂行せられたということは、(・・・)我が政治的組織が永く今日に至るまで反動的専制的絶対的性質を揚棄し得ないゆえんである。しかしながら、この事は決して我が資本主義経済の発達を阻害しなかったばかりでなく、かえってその専制的政治権力は、封建的生産方法の資本主義的生産方法への転化過程を温室的に助長し、かつその推移を促進することによって、我が国をして資本主義国としての驚くべき飛躍的発展を可能にした。

野呂栄太郎は講座派とされているが、明らかに明治維新ブルジョア革命と規定している。

2月1日内容変更