松尾匡『近代の復権―マルクスの近代観から見た現代資本主義とアソシエーション』

「上部構造」が疎外態として個々人の具体的感性状況を抑圧していたならば、個々人は各自の具体的感性状況にもっと適合した個別観念を作り上げ、それを代案として「上部構造」の抑圧とたたかうべきである。なぜなら、その「上部構造」は疎外態である限り、人々感性的事情の総体である「土台」と、必ずしも最適に適合しているのではなく、もっとうまく適合する方法があるかもしれないからである。

封建制から資本制への移行もこのようにして進んだのはいうまでもなく、日本資本主義にとっては明治維新がその臨界点である。資本制からXへの移行もこの過程を経るのだろうが、その担い手が、非営利・協同セクターであるかどうかは判らない。