新選組とフリーター覚書

昨年のNHK大河ドラマ新選組!』は、傑作であったが、ドラマには描ききれなかった経済的、階級的な側面から新選組を捉えてみたいと昨年来ずっと考えている。
服部之総は、「新撰組」(1934年、『黒船前後・志士と経済 他十六篇 (岩波文庫)』収録)で、「(近藤)勇の試衛館は、(略)斉藤、桃井らの道場とちがった一つの特徴をもっていた。特徴というのはほかでもない。試衛館が、江戸にありながら、実質上は武州多摩郡一帯の、身分からいって「農」を代表する、農村支配層の上に築かれていた点である」という。
服部は、この「農」を「封建的根底部分」と規定し、それを百パーセント武装化した、現制度を死守する、特別警備隊が新選組であるという。
しかし、この「農」に拡大しつつあった商品経済の波が押し寄せてきていて、そこからあぶれた次男三男坊たちが新選組の中枢になったと考えると違った様相を呈する。この「農」をどう捉えるかで新選組の認識も変わる。フリーターの先駆として新選組を考えることもできるかもしれない。

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