服部之総の徳川時代把握ー純粋封建制ー

服部之総明治維新史』(青木文庫)
(1928年3〜4月『マルクス主義講座』)

徳川幕府武家支配の全国的中央機関である。それは一つの統一ではあるが、純粋封建的統一であって国民的統一ではない。人民は、土地と共にそれぞれ諸候の私民であり、幕府はそれ自体最大の諸候として自己が直轄する幕領の土地人民の私有者たるにすぎない。統一はひとしく封建的大土地所有者たる武家の統一であり、諸藩に絶対的に君臨する諸候は再び将軍に対しては臣礼をとるということの中に、統一の封建的原則を見出す。
 藩主とその臣家との間の関係が、最大最強の藩主と爾余諸候との間に拡大的に再生産されたのである、組織的にも、また歴史的にも。