農民層の分解

大内力『日本における農民層の分解』東京大学出版会、1969

農民層の分解は、抽象的にいえば、自己の生産手段を所有し、自己の労働によって生活をささえていた農民のうち、その一部分が富裕になって資本家ないし地主に上昇していくとともに、他の一部分が没落し、生産手段を失い、プロレタリア化していく現象、と規定しうるだろう。いいかえれば、それは封建社会の農民の通常の形態であった、そして、封建制の解体していく過程では、中間層としての存在であった農民が、ブルジョアジープロレタリアートという、ブルジョア社会を形成する二大階級のいずれかに帰着せしめられていく過程にほかならない(31)。