水呑百姓率からみる農民層の分解

本百姓(田畑所有)と水呑百姓(田畑無所有)との比率をみると、多摩郡横山村の水呑百姓の比率は、江戸周辺地域と比較しても非常に高い。また、一概に比較できないが、この比率は農民層の分解が最も進んでいる大坂周辺の河内・摂津・和泉の比率に近い。これらによって、多摩地方の農民層の分解は著しく進んでいたことが伺われる。

        
武蔵国多摩郡横山村(八王子市) 本百姓(%)    水呑百姓(%)
1702(元禄15)      324(53.6) 279(46.4)
1743(寛保03)      341(52.7) 305(47.3) 


武蔵国足立郡大宮村(さいたま市
1717(享保02)      144(87.7)  20(12.3) 

武蔵国葛飾郡東舟森村(江戸川区
1793(寛政05)      123(76.4)  38(23.6)
1811(文化08)      128(72.5)  48(27.5) 
1854(嘉永07)      133(75.5)  43(24.5)
  
河内・摂津・泉(大坂周辺計)  
1700〜1848計     1134(59.4) 775(40.6)


(大内、1969:52、89)