ナチスによる「食育」推進

ナチスにとって食事は重要な問題だった。健康で強い国家には健康で強い肉体が必要、そして強い肉体にはまず正しい食事である。そこでナチス・ドイツの栄養学者はまず、肉と糖分、脂肪の過剰摂取を正面攻撃の対象とし、シリアルや新鮮な果物、野菜など「より自然な」食事への回帰を求めた。〔略〕正しい食生活によってガンや心臓病のような病気を減らすだけでなく、生産性の高い工場、子だくさんの家、強い軍隊を実現できると考えたのである。またナチスは経済的自立をめざしていたが、食物の輸入を減らすこともその大きな要素であった*1

この国のジャーナリズムが近隣諸国との関係悪化を被害者意識のアングルで一方的に垂れ流しているなか、水面下の至るところで戦時体制が着々と準備されつつある。

*1:ロバート・N・プロクター『健康帝国ナチス』、草思社、2003、p145-146