資本と倫理

財団法人社会経済生産性本部が行っている「第16回 2005年度新入社員意識調査」の結果によると、自分の良心に反する手段での仕事の遂行を指示された場合、「あまりやりたくないが指示の通り行動する」と答えた者は43.3%で、41.1%の「できる限り避ける」を2年連続で上回った。「従来の基準や慣習には反しても、法律に反しないことであれば、多少強引な手段や方法をとっても問題ない」も3割に達したという*1
例年、春の調査の方が「学生気分」が抜けきれず、一市民としての視点をかろうじて保っているので倫理意識が高く、秋の調査ではすっかり「会社人間」となってしまうために倫理意識が低下する傾向があるのだが、ここ数年は最初から倫理意識が低いようだ。恐らく今回のアンケートには時期的に被らなかったであろうJR西日本の事故の影響で、今後、短期的な倫理意識の向上がみられるかもしれない。しかし、資本はあくまでも利潤を最大化することが使命であり、倫理(もちろん環境や資源とも、つまり人と土地)とは本来和解しえないものなのだろう。多くの企業がコンプライアンスを唱えるが、屈託のない多くの若者はそれが嘘でしかないことに従順であるようだ。もちろん資本は嘘でもコンプライアンスCSRを推進すべきではあるが。