食料選別の2極化

ある大手スーパーの話によると、中・老年層は価値追求、若年層は価格追求といった食料品選別の2極化がみられるという。経済的余裕のある中・老年層が「安全・安心」の食料品を購買する一方、経済的余裕のない若年層は生産流通履歴が不明な安価な食料品を購買せざるをえない傾向があるのだろう。家計に占める食費の割合が大きいほど貧困であるというエンゲルの法則からみて、この国における2003年の高所得層と低所得層とのエンゲル係数の開きは1990年から倍近くの開きがあるという*1
食育基本法」ではこのような経済格差から来る問題は無視され、国は「食育の推進に関する施策を総合的かつ計画的に策定し、及び実施する責務を有する」のに対して、国民は「生涯にわたり健全な食生活の実現に自ら努めるとともに、食育の推進に寄与するよう努めるものとする」と一方的に義務づけられるだけである。国家はなぜ「食育」を推進しなければならないのだろうか?