2005-01-01から1年間の記事一覧

原蓄の風景のネガティヴな露顕

長原豊「世界都市の国家意識」(『現代思想』00年10月号) 地震による交通ー循環の突然の「停止」とその結果としての都心における「群衆」の滞留は、縁辺的な境界領域に疎隔・排除されてのみ棲まうことを赦されていた移動する人々(プロレタリア)を都心…

原始的蓄積の風景

セルジュ・ダネー,CINEMETEOROLOGY (http://home.earthlink.net/%7Esteevee/Daney_too.html) 映画は都市に属し、誰も正確には、生きられた経験、農民の空間ー時間に根付いた「農民映画」が存在することを知らない。 鵜飼哲・浅田彰「[討議]パレスチナか…

野呂栄太郎の明治維新観

野呂栄太郎「日本資本主義発達の歴史的諸条件」『初版日本資本主義発達史 上 (岩波文庫 青 136-1)』より (1928年『マルクス主義講座』第五・七・一三巻)1.明治維新の革命的意義 明治維新は政治革命であったとともに、封建的生産関係に対して資本的生…

「農」をどう捉えるか?

大河ドラマ『新選組!』の時代考証も担当した大石学は、『新選組』で、服部之総の封建的な遅れた多摩地域という位置付けに対して、多摩を含む江戸周辺地帯は、江戸周辺における以下4つの主要因を通じて、江戸の首都機能を維持・強化した点において、首都圏…

新選組とフリーター覚書

昨年のNHK大河ドラマ『新選組!』は、傑作であったが、ドラマには描ききれなかった経済的、階級的な側面から新選組を捉えてみたいと昨年来ずっと考えている。 服部之総は、「新撰組」(1934年、『黒船前後・志士と経済 他十六篇 (岩波文庫)』収録)で、…

資本の移動の自由と労働の移動の不自由

以前、『文學界』2004年11月号で柄谷行人・浅田彰・大澤真幸・岡崎乾二郎「[討議]絶えざる移動としての批評」を読んだ時の違和感をメモする。 そこでの違和感は、第三世界の低開発が永続するという第三世界論は誤っており(実際は外資導入・輸出志向…

1868年前後から1998年前後までの覚書

1868前後 「二重構造」 ・高度な資本の蓄積と非常に前近代的部門の並存 ↓ ◎農業問題ー典型的なのが農業部門 ↓ 高度経済成長に解消? ↓ ・下請け、孫請け 1965 ・本工、臨工 1970 ・外部化された労働市場 1980 ・日本的経営論(内部労働市場…

松尾匡『近代の復権―マルクスの近代観から見た現代資本主義とアソシエーション』

「上部構造」が疎外態として個々人の具体的感性状況を抑圧していたならば、個々人は各自の具体的感性状況にもっと適合した個別観念を作り上げ、それを代案として「上部構造」の抑圧とたたかうべきである。なぜなら、その「上部構造」は疎外態である限り、人…

野呂栄太郎『初版日本資本主義発達史 上 (岩波文庫 青 136-1)』

(1927年1月、6月『社会問題講座』) 明治維新は、明らかに政治革命であるとともに、また広汎にして徹底せる社会革命であった。それは、決して一般に理解せられるが如く、単なる王政復古ではなくして、資本家と資本家的地主とを支配者たる地位に即かし…

『現代思想』特集フリーターとは誰かを読む

平井玄「亡霊的プロレタリア 永山則夫の子供たちへ」と宇城輝人「手の争い」で言及されているドニ・ド・ルージュモンの『失業知識人の日記』が興味深い。 失業者は「正午はいつのまにかやってきた」というひとつのことを知っているだけである。孤独とは若さ…

<いわゆる資本の本源的蓄積>から見た1860年代から80年代にかけて展開された「諸政策」

1.資本の本源的(原始的)蓄積 いわゆる資本の本源的(原始的)蓄積とは、<資本−賃労働関係>を創出する歴史的過程である。資本主義がいったん成立したのちは<資本−賃労働関係>はたえず再生産されていくが、資本主義成立のためにはこの関係そのものをつく…

山田昌弘『希望格差社会―「負け組」の絶望感が日本を引き裂く』を読む

リスク化・二極化する日本社会、戦後安定社会の構造変化ー職業・家族・教育の不安化、ゆえに希望が喪失される、という現状分析は、その通りだと思う。 しかし、「いま何ができるのか、すべきなのか」では、夢への過大な期待をあきらめさせ、適当な労働に就く…